虫垂炎について
虫垂とは、盲腸の後内側から垂れ下がっている管のことで、ここで化膿性の炎症が起こるものを虫垂炎といいます。主な症状として急な腹痛、吐き気などが挙げられます。
こんな症状が現れます
- 急な腹痛
- 吐き気
- 腹部の張り
- 発熱
- 食欲不振
など
虫垂炎の原因
はっきりとした原因はわかっていませんが、虫垂に便のかたまりや、植物の種などが入り、細菌感染を起こすことで虫垂炎が発症すると考えられています。ごく稀に、腫瘍によって虫垂が塞がれたり、狭まったりすることが要因となるケースもあるといわれています。
虫垂炎の検査方法
まずは問診を行い、患者様に痛みなどの症状が発生している部分を確認します。そのうえで触診を行い、直腸の右側などを圧迫した時の痛みなどから診断を行います。そのほか、血液検査、レントゲン検査、腹部エコー検査などを実施し、それらの結果から総合的に判断します。
また、必要に応じて大腸カメラ検査を実施して、大腸の状態を観察する場合もあります。
診断のポイント
虫垂炎の診断では、診察により「左の下腹部に痛みがあるかどうか?」を確認し、さらに右の下腹部などに筋性防御(腹壁が緊張して硬くなり、外部から触れられる状態)が起こり、「押さえると激しい痛みがある」「反跳痛(圧迫後、急に離すと感じる痛み)がある」などの症状がないかを確認します。こうした診察により、ある程度、虫垂炎は診断することが可能です。病状の度合いも、ある程度、症状から判断することが可能で、重症と判断した場合には、近隣の基幹病院を紹介し、そちらで血液検査やCT検査などを受けていただいて確定診断となります。
虫垂炎の治療方法
軽度の虫垂炎に対しては、抗生物質の投与などの薬物療法を行います。ただし、腹膜炎が疑われる場合などには、手術が必要となります。
よくある質問
「虫垂」とはどの部分のことを指すのですか?
虫垂とは、大腸の一部で、右下腹部にある小さな袋のような臓器を指します。
「虫垂炎」と「盲腸」の違いを教えてください
虫垂炎は「盲腸」と呼ばれることもありますが、正確には盲腸は病名ではなく、虫垂の根元にある大腸の一部のことを指します。
虫垂炎と間違われやすい病気を教えてください
虫垂炎と間違われやすい病気として、「大腸憩室症・憩室炎」が挙げられます。憩室は盲腸のあたりに多いので、そこで炎症が起こると区別がつきにくい場合があります。こうした場合、近隣の基幹病院を紹介し、そちらでCT検査を受けていただいて診断を行います。
虫垂炎ではどんな症状が現れますか?
初期にはみぞおちの痛みや、腹部のむかつきなどの症状があらわれます。その後、腹部の右下腹部が痛くなり、さらに進行すると痛みが腹部全体に広がって、発熱、嘔吐、下痢、食欲低下などの症状が現れます。
虫垂炎の原因を教えてください
はっきりとした原因はわかっていませんが、便の塊(糞石)、リンパ組織、腫瘍などが虫垂の入り口を塞ぎ、内部で細菌感染が起こることで痛みが発生すると考えられています。
どんな人が虫垂炎になりやすいですか?
10~20代の若年層に多いとされていますが、虫垂炎はすべての年代で起こるので、どなたも注意が必要です。
虫垂炎に対してどんな治療が行われますか?
症状が軽く、便の塊などで虫垂で穿孔が起こる可能性が低い場合には、抗生物質を投与するなど薬物療法を行います。ただし、治療を行っても改善がみられない時には、外科手術を検討する場合もあります。また、薬物療法で治療した方のうち、10~35%程度の方が、虫垂炎が再発するといわれています。
虫垂炎を予防することはできますか?
虫垂炎の原因がはっきりわかっていないため、確実に予防することは難しいのですが、虫垂炎の原因の1つとして、「便の塊(糞石)が虫垂の入り口を塞ぐことで起こる」と考えられていることから、食物繊維を多く含む食事を心がけることで、虫垂炎になるリスクが低減できるのではないかといわれています。